覆面釣り
節分の翌日は立春。暦の上ではもう春だ。だが、春の装いにはまだ早い。旧暦で言うと今日はようやく一月五日。
冬の釣りも貼るカイロの登場でずいぶん楽になった。腰回りに貼り巡らすと寒波なんぞはどこ吹く風。なにせ好きな釣り。ハッピーな気分と相まって、ふところ以外はホカホカと暖かい。ただ、カイロは、顔や頭に貼るわけにいかぬのが難点だ。ここは、目玉・鼻の部分だけ穴を開けた防寒覆面と防寒帽子でガッチリ防御する。
この覆面姿で海へ向かう途上、昼食用のパンとか飲み物を買おうと、二十四時間営業のコンビニに立ち寄ったら店員が仰天した。とたんにハッ！と気づいてあわてて覆面取って謝ったが、警察官がいたら逮捕されるところだった。でも、最近、店員さんたちは驚かない。あきれたような顔をする。
「寒いのに釣りもたいへんですねぇ」と言う。
「いや平気平気、少しも寒くありません」と覆面から返事。
津軽のマグロ漁師は、冬は太い毛糸で編んだ厚手のセーターを愛用すると以前どこかで聞いたことがある。題名は忘れたが、昔の映画で津軽漁師に扮した菅原文太がそのセーターを着ていた。それ以来、私は冬は厚手のセーターが好きだ。相手はマグロじゃなくて瀬戸内海のアイナメやカレイだが、冬には冬の厚手のセーターがよい。
冬の海は澄んできれいだ。日の出が日一日と早くなる。貧果は覚悟。カイロ・覆面・厚手セーターで冬の海のボート釣り。
越冬キスやマガレイを少し釣った。
春よ来い♪
早く来い♪